
Skin Booster · ECM
スキンブースターを何度も受けたのに、以前ほどの反応がないとおっしゃる方がいます。Re2O(リトゥオ)が注目される理由もここにあります。コラーゲンを作るよう刺激するのではなく、すでに出来上がった構造物を直接入れる方式だからです。
まず、スキンブースターには系統があります
スキンブースターとは、真皮に何かを注入して肌の状態を変える施術をまとめて呼ぶ言葉です。名前は同じでも、中に入る成分と作用の仕組みはそれぞれ異なるため、系統を知ったうえで見ないと比較になりません。
ヒアルロン酸を真皮の浅い層に分けて注入します。水分を抱え込む性質を利用するため、インナードライやくすみ・かさつきに使われます。
サケから精製したポリヌクレオチド(PN・PDRN)です。線維芽細胞を刺激し、自らコラーゲンを作るよう促します。
PDLLA、PLLA、CaHAのような生分解性の粒子です。粒子が分解される間に組織が反応し、コラーゲンが満ちていきます。
エクソソームや成長因子のように、細胞にシグナルを送る物質を使います。
Re2Oがここに該当します。すでに組織化された細胞外マトリックス(ECM)をそのまま真皮に入れます。
反応が現れる時期、相性の良い部位、組み合わせやすい施術が系統ごとに異なるからです。
Re2Oは何から作られていますか
Re2Oは韓国企業のL&C Bioが作った製品で、ヒトの真皮から細胞やDNAなどの免疫抗原となる要素を取り除き、構造物だけを残した素材を使います。このような素材は無細胞同種真皮(hADM)と呼ばれ、韓国ではヒト組織移植材として分類されています。
残った構造物が細胞外マトリックスです。コラーゲンが大部分を占め、エラスチンとグリコサミノグリカンが一緒に含まれています。私たちの肌の真皮を構成する成分組成に似ているという点が、この素材の出発点です。メーカーが示す使用目的も「損傷および欠損した皮膚・真皮の構造的な復元と機能回復」です。
刺激するのか、満たすのか

自分の線維芽細胞が働いてこそ結果が出ます。おおむね6~12週かけて徐々に満ちていき、その分長く維持される傾向があります。
すでに編み上がったコラーゲン構造を入れます。入れた場所に骨組みができ、その中に線維芽細胞が入り込んで自分の組織へと変えていきます。
この違いが実際に意味を持つ場面があります。年齢を重ねると、線維芽細胞の数と活性がともに低下します。刺激型の施術はこの細胞が反応してこそ結果が出るため、同じ施術を受けても20代と50代では反応の幅が違わざるを得ません。スキンブースターを何度も受けたのに最初ほどではないと感じるケースが、ここに当てはまることもあります。
補充型は出発点が異なります。細胞が作り出すのを待つ代わりに、骨組みを先に置き、その上で再生が起こるようにします。自らの再生力が以前ほどではない肌で、特に意味を持ちうると考えられる理由です。
研究ではどんな変化が確認されましたか
粒子型のヒト無細胞同種真皮を扱った研究では、注入した部位で1週間以内に線維芽細胞がマトリックスの中に入り込み、その境界面で新しいコラーゲンが作られる様子が観察されました。入れたものがそのまま残るのではなく、自分の組織へと変わっていくプロセスが始まるという意味です。
培養実験では、複数の指標がそろって動きました。
- ヒト真皮線維芽細胞の増殖が増え、コラーゲン1型と3型の合成が増加しました。
- ヒアルロン酸合成酵素が上がり、ヒアルロン酸の生成も一緒に増えました。
- マクロファージでは、IL-1β、TNF-α、IL-6のような炎症物質がむしろ減少しました。
- 紫外線を照射した皮膚モデルで、基底膜タンパク質(Nidogen I、コラーゲン4型)が回復する様子が確認されました。
ヒトを対象にしたデータもあります。顔の左右を分けて片側に粒子型hADMを、もう片側にヒアルロン酸を注入し、20週間観察した半顔二重盲検研究です。平均54.7歳、20名の規模で、真皮の密度と弾力、しわの深さ、毛穴の面積、水分指標で改善が報告されました。重大な有害反応はなく、一時的な赤みやむくみ程度が観察されました。
ほうれい線を対象に粒子型ADMとコラーゲンフィラーを比較した202名規模の多施設無作為化研究では、3ヶ月と6ヶ月の時点で非劣性が示されました。ただし、この研究ではヒトではなくブタの真皮から作られた製品が使われています。
比較的最近確立した系統のため、長期データは今も蓄積が続いています。上記の数値は当該研究で観察された結果であり、反応には個人差があります。
どの部位によく使われますか

構造を補う方式であるため、真皮が薄くなって下が透けて見えたり、小じわが目立つようになった部位に主に使います。
肌が薄く、影になって見えたり小じわが寄る部位です。フィラーで満たすには負担が大きく、厚みそのものを上げたいときに検討します。
縦じわができ、口紅がにじみ始める部位です。表情のたびに折りたたまれる場所なので、肌の密度がカギになります。
くぼんだというより、肌が薄くなり張りが抜けた感じのときです。ボリュームの問題とは分けて考えます。
顔よりケアが後回しになりやすく、肌が薄くて小じわが目立ちやすい部位です。
このような方に向いています
- 肌が薄くなったことが悩みの核心の方
しわ一本より「肌に厚みがない」という感覚が先に立つなら、構造を補う方式が目標に合っています。 - これまでのスキンブースターで満足が得られにくかった方
刺激型の施術を何度も受けたのに最初ほどではないと感じるなら、作用の仕組みが異なる系統を検討してみることができます。 - 水光注射では物足りなかった方
水分を満たす施術は、表面のキメとツヤに焦点があります。時間が経つと元に戻るなら、真皮側も一緒に見る必要があります。 - 40代以降、再生のスピードが以前ほどではない方
線維芽細胞の活性が落ちた状態では、「作るよう命じる」方式より、骨組みを先に置くアプローチが役立つことがあります。 - こんなときは別の選択のほうが良いです
くぼみがはっきりしていて容積を満たす必要があるならフィラーが、たるみが主な問題ならリフティング機器のほうが合っています。赤みや色素が一緒にあるなら、先にレーザーで整えるほうが良いです。
ほかの施術と一緒に考えるとき
スキンブースターひとつで顔全体が整うケースは多くありません。真皮の密度はスキンブースターが、たるんだ輪郭は超音波や高周波リフティングが、色素と赤みはレーザーがそれぞれ担うように役割を分けるほうが、結果がすっきりします。
結局は「何を変えたいのか」です
Re2Oは既存のスキンブースターに取って代わる施術ではありません。水分が足りない肌にはヒアルロン酸が、傷跡や小じわにはPNが、全体的なハリにはコラーゲン誘導系統が、それぞれの持ち場を守っています。Re2Oはその間に、真皮の構造そのものを補うという別のポジションをひとつ加えた形です。
診療室では、肌に合わせて適した施術や治療を選ぶことが大切です。何が気になるのか、今の肌はどんな状態なのか、以前どの施術でどんな反応があったのか。系統を知って選べば、満足度は確実に変わります。
医学的参考
- Injectable Particulated Human Acellular Dermal Matrix Booster for Skin Restoration:無作為化半顔二重盲検臨床および前臨床統合研究(Int J Mol Sci, 27(5):2193)
- Safety and Efficacy of Micronized Acellular Dermal Matrix Injection for Correction of Moderate to Severe Nasolabial Folds:二重盲検多施設無作為化非劣性臨床試験(Aesthetic Plast Surg)
- Micronized Cross-Linked Human Acellular Dermal Matrices:コラーゲン合成スキャフォールドとしての特性および組織増大材料としての評価
- L&C Bio Re2O製品情報 — 原料および使用目的
- 皮膚老化に伴う線維芽細胞の活性低下と真皮リモデリングに関する文献
