
Acne · Laser
なぜニキビの機器をこんなに多く揃えているのか、という質問をよく受けます。答えはシンプルです。ニキビはひとつの問題ではなく、皮脂、詰まった毛穴、炎症、そしてその後に残る赤みや跡・クレーターが重なり合った状態だからです。それぞれが位置する深さも、必要なエネルギーも異なります。
ニキビはひとかたまりではありません
同じ「ニキビ」と言っても、診療室で見る顔はそれぞれ違います。額全体に細かいブツブツがびっしり出ている肌もあれば、あごの同じ場所にだけ数ヶ月間、大きなニキビが繰り返しできる肌もあります。炎症はすべて治まったのに赤みだけが残り、メイクでも隠れないケースもあります。
ニキビができる過程を分けてみると、その理由が見えてきます。皮脂の分泌が増え、毛穴の入り口の角質が厚くなって詰まり、その中で細菌が増え、やがて炎症が起こります。炎症が深くまで進むと組織が壊れ、跡が残ります。4つの段階は順番に続きますが、どの段階が最も問題なのかは人によって異なります。
テカリがひどく、メイクが長持ちしません。圧出をしても数日でまた詰まります。皮脂腺そのものの活性を下げるアプローチが必要です。
炎症は少ないのに、細かいブツブツや閉鎖面皰が長く残ります。角質層を整理し、毛穴の入り口を開いてあげることが優先です。
赤く痛みを伴って腫れる化膿性の病変が繰り返されます。広く散らばっているのか、一カ所に集中しているのかによって、使う方法が分かれます。
炎症は終わったのに、赤み、茶色い色素、凹んだ跡が残ります。ニキビ治療ではなく、再生と色素治療の領域です。
機器によって届く深さが異なります

ニキビの機器を何台も揃える本当の理由がここにあります。皮脂腺はおおむね皮膚表面から400~600㎛の深さに位置します。表皮で吸収される波長はここまで届かず、逆に深く入るエネルギーは表面の角質や色素を扱えません。
1台の機器がすべての深さを担当することはできません。波長が決まれば、到達する深さも決まるからです。広く散らばった炎症に向く機器と、あごの一カ所に繰り返しできる病変に向く機器が異なるのも同じ理由です。
波長を選んで特定の組織に吸収させます。針を使わずに広い面積を一度にカバーできるため、顔全体に広がった病変に有利です。
微細な針が目標の深さまで入り、その地点だけで熱を発します。病変を一つひとつ狙うため、局所的に繰り返しできる場所に有利です。
Lumiin皮膚科のニキビ機器、それぞれの持ち場
機器ごとに得意なことが異なります。以下は、Lumiin皮膚科でニキビ診療に使用している機器が、実際にどの段階を担当しているのかを整理したものです。
炎症と皮脂を扱う機器
| 機器 | 方式 | 主な担当 |
|---|---|---|
| NeoBeam | 1450nmダイオードレーザー。冷却ガスで表皮を保護しながら、皮脂腺の深さに熱を集中 | 額・頬に広く散らばった炎症性ニキビ、過剰な皮脂、脂性肌 |
| ゴールドPTT | 金ナノ粒子を毛包まで浸透させた後、レーザーで刺激してその地点だけに熱を集める | 顔全体の炎症性ニキビ、ニキビが繰り返しできる肌環境 |
| アグネス | 絶縁された微細針が皮脂腺まで直接入り、針の先端だけで高周波の熱を発生 | 同じ場所に繰り返しできる化膿性の病変、局所的な再発部位 |
赤みと色素を扱う機器
| 機器 | 方式 | 主な担当 |
|---|---|---|
| Vビーム・パーフェクタ | 595nmパルス色素レーザー。ヘモグロビンに選択的に吸収 | ニキビが治った後に残る赤み、拡張した表在血管 |
| ピコシュア | 755nmをピコ秒単位で照射し、色素を圧力波で分解 | 炎症後に残った茶色い色素沈着 |
凹んだ跡と毛穴を扱う機器
| 機器 | 方式 | 主な担当 |
|---|---|---|
| Avio | 2940nmエルビウムヤグレーザー。残留熱を少なく抑えながら微細な剥離とフラクショナルチャネルを形成 | 表面の凹凸、厚くなった角質、角質の滞留でできる閉鎖面皰 |
| ポテンツァ | マイクロニードルの先端から高周波を放出し、真皮だけに熱刺激 | 深く凹んだニキビ跡、広がった毛穴、ざらついたキメ |
| リジュランS | 粘度を高めたポリヌクレオチドをニキビ跡部位の真皮に局所注入 | 凹んだ場所を満たし、跡の周囲に再生環境をつくる段階 |
時期によって主役が変わります

複数の機器を揃える2つ目の理由は時間です。同じ人の肌でも、数ヶ月の間に必要な治療が変わります。炎症が真っ盛りのときにクレーター用レーザーを行うと炎症をさらに悪化させることがあり、逆に炎症がすべて終わった肌に皮脂コントロールだけを続けても、残った跡はそのままです。
- まず炎症を鎮めます
病変の数を減らすことが優先です。圧出とスケーリング、必要に応じて薬物治療を併用し、NeoBeam・ゴールドPTT・アグネスで皮脂と炎症を扱います。この段階を飛ばすと、後の治療が長引きます。 - 赤みと色素を整理します
炎症が落ち着いたら、残った赤みにはVビームを、茶色く残った跡にはトーニング系とピコシュアを計画します。跡は時間とともに薄くなることもあるため、急いで強く行うことはしません。 - 凹んだクレーターを扱います
表面の凹凸にはAvio、深いクレーターと毛穴にはポテンツァ、凹んだ場所にはリジュランSを組み合わせます。回数を分けて強度を上げていく方式のため、最も時間のかかる段階です。 - 再発を管理します
皮脂の分泌量が多い肌は、治療を終えた後も間隔を空けながらメンテナンスを続けるほうが良いです。ニキビは完治というより管理に近い疾患です。
結節や嚢腫が広範囲にできる重症ニキビや、クレーターが急速に増えている場合は、内服薬治療の比重がはるかに大きくなります。このときレーザーを先に始めると、時間と費用が増えることがあります。イソトレチノイン服用中は、施術の種類とタイミングを別途相談する必要があります。
まとめると
ニキビの機器が何台もあるのは、機器の数を誇るためではありません。皮脂腺の深さ、炎症の範囲、跡の色、クレーターの形が、それぞれ異なる条件を要求するからです。
診療で大切なのは、どんな機器があるかよりも、今この肌にどの段階の治療が必要なのかを正確に見極めることです。
病変が赤く硬く大きくできる、同じ場所に繰り返しできる、すでに凹んだ跡が増えている場合は、セルフケアよりも受診が先です。手でつぶしてできたクレーターは元に戻すのが困難です。
医学的参考
- 大韓ニキビ学会 ニキビ治療ガイドライン — 重症度に応じた段階別治療の原則
- American Academy of Dermatology guidelines for the management of acne vulgaris — 薬物治療の優先順位および施術の補助的役割
- Selective photothermolysis 原理に関する文献 — 波長別の標的発色団と到達深度
- 1450nm diode laser for inflammatory facial acne:皮脂腺の標的化および冷却併用に関する研究
- Gold microparticle-assisted photothermal therapy for acne vulgaris:選択的皮脂腺光熱治療の研究
- Insulated microneedle radiofrequency for acne:皮脂腺の選択的凝固に関する臨床報告
- Post-acne erythema および post-inflammatory hyperpigmentation の治療に関する文献 — PDL・IPL・ピコ秒レーザー
- Acne scar treatment 文献 — ablative fractional laser、microneedle RF、subcision および併用治療
- Lumiin皮膚科の保有機器の仕様およびメーカー提供資料
